点滴の準備に追われてた午後。
ナースコールが連続で鳴って、記録も全然進まなくて。
自分でもわかるくらい、余裕がなくなっていた。
そんな中、ある患者さんの部屋に入ったとき、
手元がちょっとだけ震えてた。
それに気づいたのか、患者さんがぽつり。
「あなたも、毎日大変ね。ありがとうね」
たったそれだけ。
でも、それだけで涙が出そうになった。
「大変」って、誰にも言ってなかった。
「ありがとう」って、言われることも忘れてた。
私たちは、誰かを支える側にいるけど、
こんなふうに、誰かの言葉に支えられてるんだなって思った。
その一言のおかげで、
午後の業務も、少しだけ心に余裕を持って過ごせた。
きっと、あの言葉のことはずっと覚えてると思う。
“ありがとう”って、やっぱりすごい力があるな。
こはる
