- 答えてくれた人:中村 義幸
- 臨床経験:11年目 一般病棟(神経内科と耳鼻科の混合病棟)→精神科病院→精神科訪問看護ステーション
- 職場:精神科訪問看護ステーション
精神科訪問看護とはどのような場所ですか?
中村さん、本日はよろしくお願いします。
精神科に特化した訪問看護で勤務されているという事ですが、一般的な訪問看護とはどういう違いがありますか?
一般の訪問看護と、精神科訪問看護の違いをよくわかってない方が多いと思います。
色々な違いはありますが、1番の違いとしては精神科経験や知識のあるスタッフでなければ行えないっていう縛りがあります。
なので、利用される患者さんが安心してサービスを受けられるシステムになっているんだなっていう風に僕は感じていますね。
質の保証をするために色々な制度があるということですね。
ちなみに精神科病棟と精神科訪問看護ステーションの違いはどのようなことがありますか?
やっぱり精神科の患者さんにとっては、在宅において予防医療っていうのはとても大切な視点になってきます。
その方が調子を崩さないために「どう介入するか」っていう視点を考えて、1人1人と長い時間かけて接していくことができるっていうのが、精神科訪問看護の魅力かなと思います。
病棟だとやっぱり時間が限られてしまうので。
短い時間で、内容を凝縮してやらなきゃいけないっていう部分は絶対出てくると思います。
精神科訪問看護の場合は、1人1人とゆっくりと向き合うことができるっていうのが、すごい魅力的かなと思います。
精神科訪問看護は、看護学生の実習でも経験したことがなかったのでイメージがあまりありませんでした。
専門性の高い分野だなと改めて感じました。
転職したきっかけを教えてください
何度か転職をされていると思いますが、転職をされた理由など教えていただきたいです。
初めは神経内科と耳鼻科の混合病棟で働いていました。
神経内科と耳鼻科の病棟がめちゃくちゃ忙しかったので、ちょっと疲れちゃって、環境変えたいなっていう思いがまずありました。
次どこ行こうかってなった時に、 看護学校の時にお世話になった先生が精神科の先生だったんです。
その先生に相談したところ、「精神科は向いてるんじゃないか」っていう風に言われて、それで精神科の病院に転職したっていう経緯があります。
ありがとうございます。
学生の時から知っている先生だと、中村さんの看護観なども理解した上でアドバイスしてくれてそうな気がします。
意外に自分では向いている科が分からないことも多いかなと思うので、すごくいいきっかけですね!
精神科訪問看護ステーションに就職して辛かったことを教えてください
精神科訪問看護ステーションに就職して辛かったことを教えてください。
その時その時で、辛かったことはあったかと思うんですけれども、今改めてこうやって聞かれると、あんまりぱっと思い浮かばないんですよね。
なので、僕にとっては、辛かったことよりも楽しいさの方が圧倒的に大きいんだなっていう風に感じました。
看護が楽しいって思えるってすごく素敵なことだと思います!
進路を相談した先生がおっしゃっていたように、精神科が向いていたんですね。
精神科訪問看護ステーションに就職して驚いたことを教えてください
管理者になって楽しかったことはありますか?
その当事者の方も支援者の方も、こういうサービスがあるっていうことを知らない人がすごく多いことです。
なので、地域に精神疾患を抱える方ってものすごくたくさん潜在的にいるんですけれども、やっぱりサービスについて知識がないと支援が必要な方に届けることができないなと思っています。
なので、僕は今いろんな方に精神科訪問かも知っていただくような活動をしています。
そうですね、まだまだ精神科訪問看護を知らない人が多いっていうところが1番驚きというか、今の僕の仕事の内容にも繋がってる部分ですね。
看護師でさえも正確に一般の訪問看護と精神科の訪問看護の違いを説明出来る方は少ないと思います。
そう思うと、尚更地域で生活している当事者や支援者の方は知らないことが多そうですね。
私も中村さんの活動を応援しています!
精神科訪問看護の歴史
精神科に特化されている訪問看護は比較的最近なのかなと感じていますがいかがでしょうか?
そうですね。
本当にここ10年ぐらいですね。
厚生労働省から精神科の入院期間を短していく方針と発表されてから、精神の在宅医療が見直されるようになりました。
そこから、精神科の訪問看護っていうシステムが出来たような感じです。
そうなんですね。
私も、働き始めてから初めて知りました。
看護学生の時は、実習も一般的な訪問看護実習のみで精神科訪問看護は知りませんでした。
やっぱり知らない人が多いですね。
精神科訪問看護がありますよって伝えても、やっぱり「訪問看護」っていうワードを聞くと、ドラマとか映画でよくあるような、寝たきりの人のところに行って点滴しているみたいなイメージがあると思います。
利用されている方も、本当に病状が重たい方や死期が迫った方が使うサービスとかそういうイメージを持たれる方がとても多いと思います。
確かに訪問看護は病院に通院することが難しい人が利用するイメージが強いかもしれませんね。
そうですね。
なので、地域で精神疾患を持たれている方に訪問看護の話をすると、「いや、私はそういうのを受けるような立場じゃない。」っていうような反応をする方も多くいらっしゃいます。
入院中にそういう精神科の在宅のサービスとかを紹介する事もまだ少ないってことでしょうか?
大きい病院さんだと増えています。
ただ、一応、退院後は訪問看護は導入になったけれども、患者さんとご家族の訪問看護への理解が得られないまま導入になっているので、必要性を理解できてないっていう部分で、長続きしないっていうケースが多いのが現実ですね。
確かに、聞き慣れていないサービスだと患者さん受け入れる事に抵抗があったり慣れるまでに時間がかかってしまうかもしれませんね。
もし看護師になっていなければ、どんなお仕事していたと思いますか?
中村さんは、もし看護師じゃなかったら何をしていたと思いますか?
僕、結構考えたんですけど。
小さい頃から憧れてるのは、ミュージシャンですね。
看護師になる前は音楽の大学に行っていました。
特に憧れるのは、60年代70年代のセックス、ドラッグ、ロックンロールって言われてた時代の、ロックミュージシャンですね。
え本当に好きなように生きて、薬物やって、女性で遊んで、でもいい曲は作って人を魅了して、若くして体壊して死んじゃうみたいな。
そういう生き方にすごい憧れはあるですね。
ただ、自分には無理ですが・・・。
ミュージシャン!
すごく似合いそうです。
看護師になる前に音楽の大学に通われていたのに驚きました!
確かにその生き方はかっこいいですが、私も出来そうにありません・・・。
今後の目標を教えてください
たくさんの人に精神科訪問看護を広めていければいいなと思います。
当事者の方も、支援している方も看護師の皆様にも、こういうサービスがあるんだよっていうのを知ってもらいたいです。
患者さんが周りにいらっしゃれば「精神科訪問看護っていうサービスがあるよ」っていうのも教えてもらえれば、 多くの人に支援が届くのかなという風に思います。
ご協力お願いします!
全国の看護学生さんへのメッセージ
先々週までうちのステーションにも看護学生さんが来てて、学生さんにも 同じこと伝えました。
医療とか看護に関する知識っていうのはもちろん必要なんですけれども、それ以上にセルフメンタルケアの能力が求められる世界だと僕は思っています。
やっぱり看護師さん自身が、患者さんへのケアに疲れてメンタルを病んでしまう、あるいは職場での人間関係に疲れて、メンタルを病んでしまうってことがすごく多いな入職してからずっと思っています。
まあ、自分自身のメンタルの健康っていうのを第1に考えて仕事をしていってもらえればなと思います。
なので、しっかりと趣味を持ってそれを楽しみながらライフワークバランスをしっかり保つことが大切かなっていう風に思ってます。
そこを大事にしていただければと。
全国の看護師の仲間へ
看護師さんってすごいですよね。尊敬してます。
1人1人、やっぱり自分自身の考え方があって、人のために働く姿勢っていうのは、どんな看護師さんであっても尊敬できるなって僕は思っています。
いろんな方と今後の関わりを持ちつつ、いろんな方から刺激を受けて自分自身の看護っていうのをこれからも磨き続けていければなと
思ってます。
なのでこれからも一緒に頑張りましょう。