患者さんの様子って、ちょっとした変化でも気になる。
いつもはおしゃべりなあの患者さんが、今日は静かで、笑顔も少なかった。
「体調悪いですか?」って聞いても、「ううん、大丈夫よ」って。
でも、なんとなく引っかかった私は、
お茶を持っていきがてら、もう一度だけ声をかけた。
「何かあったんですか?今日、いつもとちょっと違う気がして」
そしたらぽろっと、
「実は今日ね、主人の命日なの」って教えてくれた。
ああ、そうだったんだ…。
それを知っただけで、私は自然と手を握ってた。
「そばにいてくれてありがとう」って言ってくれて、
こちらこそ、教えてくれてありがとうって思った。
病気だけじゃなく、心にも寄り添える看護師でいたい。
そんなふうに感じた日だった。
こはる
