夜勤明けの引き継ぎが終わって、
片付けをしていたら、ふいに後輩が話しかけてきた。
「こはるさんって、忙しいのにいつも患者さんに優しくて、すごいなって思ってます」
一瞬、ぽかんとしてしまった。
自分では、最近ちょっと余裕がなくて、
ちゃんとできてるか不安だった。
笑顔も作れてなかったかもしれないし、
声も小さかったかもしれない。
でも、誰かがそんなふうに見てくれてたんだって思ったら、
なんだか泣きそうになった。
「ありがとう。私もね、毎日いっぱいいっぱいだよ」って返したら、
後輩がちょっと笑ってくれた。
完璧じゃなくても、
“自分らしいやさしさ”は、ちゃんと届いてたんだって思えた朝。
あの子の言葉が、
疲れてた私の心に、そっと灯りをともしてくれた。
こはる
