人間関係で辞めたくなった、看護師のリアル体験談

インタビュー

登場人物

  • あんな:元・急性期病棟勤務。現在はHSP気質を活かし、働きやすい環境へキャリアチェンジ済み
  • こはる:2年目看護師。人間関係に敏感で、日々モヤモヤを抱えている
  • ひより:訪問看護師。人間関係で転職を経験済み、穏やかな聞き役タイプ

休日の午後、ナース3人のカフェトーク

こはる
こはる

最近ちょっと、職場の空気がしんどいなって感じるんです…。

先輩のちょっとした一言とか、目線とか…。

気にしすぎかもって思うけど。

ひより
ひより

ううん、それってよくあるよ。

人間関係って、仕事内容よりも心を削られることあるもんね。

あんな
あんな

こはるちゃん、それ、我慢し続けるとしんどくなるやつだよ。

実は私も、それが理由で急性期を辞めたことがあるの。

あの夜勤の出来事、今でも忘れられない・・・

こはる
こはる

えっ、あんなさんでも人間関係で辞めたんですか?

あんな
あんな

うん。

辞めた理由は、人間関係が全てではないけど・・・。

あんな
あんな

今思い出しても…苦しかったな。

夜勤中に急変があって、医師の緊急ラベルで点滴と薬剤を用意したの。

あんな
あんな

急いで持って行ったら、先輩が私の報告を聞かずに、そのまま認証せずにつないじゃったんだよね。

ひより
ひより

え、それって本来ダメだよね?

認証は誰が投与しても必要なはず…。

あんな
あんな

でしょ?

それなのに、そのあと薬剤が間違っていたことが分かって…。

あんな
あんな

でも医師からは『この薬剤なら問題ない』って言われたの。

だから大事にはならなかったんだけど・・・。

こはる
こはる

そのあと、何かあったんですか…?

「ダブルチェックしてないよね?」その一言に崩れた信頼

あんな
あんな

一緒にダブルチェックしてくれた別の先輩がいたのに、

後から『あんなさん、ダブルチェックしてないでしょ?』って言われたの。

ひより
ひより

うそ…。

ちゃんとやってたのに?

あんな
あんな

そう。

“してない”って決めつける空気だった。

報告書も私ひとりで書いて。

あんな
あんな

上司にも相談したんだけど、「仕方がない。」で我慢するしかなかった。

ひより
ひより

責任をなすりつけられると、職場が一気に信頼できない場所になるよね…。

あんな
あんな

そう。

“信頼されてない自分”として扱われるのが、いちばん辛かった

バイタル測定すら怖くなった

こはる
こはる

…そんなことがあったら、私だったら出勤できなくなりそう…。

あんな
あんな

実際、しばらくそうだったよ。

「こんな職場二度と出勤するか。」と思って、ロッカーも引き出しも全部荷物持って帰った。笑

あんな
あんな

結局出勤はしたけど、バイタルを測りに行くだけで手が震えて。

“また何か言われたらどうしよう”って。

私、ただのミスじゃなくて、“人として否定された”ように感じたんだと思う。

ひより
ひより

急性期って、スピードも責任も重いぶん、心のゆとりが失われやすいよね。

ひより
ひより

本来なら、“仕組みの問題”として話し合うべきことなのに、

“人のせい”にされると、その人はもう立て直せなくなっちゃう。

辞めることは「負け」じゃなかった

こはる
こはる

そのあと、どうやって今の職場に移ったんですか?

あんな
あんな

限界まで頑張ったけど、ある日ふと、

“このままじゃ私、壊れる”って思った。

あんな
あんな

勇気を出して、もっと落ち着いた環境で今ままでのスキルを活かせる環境にしたんだ。

今は夜勤もなくて、自分らしく働けてるよ。

ひより
ひより

転職=逃げじゃないよね。

ひより
ひより

“私が悪いんじゃなくて、環境が合わなかっただけ”って、もっと看護師が思えるようになってほしい。

“心がしんどい”は、変わるサインかもしれない

あんな
あんな

こはるちゃんも、今感じてる違和感、大切にしてね。

放っておくと、自分を責め続けるようになっちゃうから。

こはる
こはる

……はい。

“私が繊細すぎるのかも”って思ってたけど、もしかしたら“合わない場所で無理してた”だけかもしれないですね。

ひより
ひより

それだけ患者さんや周りに気を配れるって、本来すごく価値あることなんだよ。

その力が活かせる場所、きっとあるから。

最後に:人間関係に悩んでいるあなたへ

人間関係で悩んで辞めたくなるのは、決して弱さではありません。

むしろそれは、“このままじゃ自分を保てない”という、心からのSOSかもしれません。

どんなに気をつけても、ミスは起きる。

その時に「どう支え合えるか」が大事なのに、責任だけを押しつけられて、孤立していく――そんな環境は、あなたのせいじゃない。

あなたをちゃんと見てくれる場所、あなたの誠実さを大切にしてくれる仲間は、必ずいます。

もし今、少しでも「このままでいいのかな」と感じているなら、まずは一度、視野を広げてみてください。

私たちの体験が、少しでも誰かの気づきになれば嬉しいです。