「もう無理…」急性期病棟を辞めた理由と次の選択

インタビュー

登場人物

  • あんな:元・急性期病棟勤務。現在は夜勤なしの働き方にシフト済み
  • こはる:2年目看護師。急性期病棟勤務中で毎日バタバタ
  • ひより:訪問看護師。過去に療養型病棟や施設勤務も経験あり

【日曜の午後、3人でカフェにて

こはる
こはる

あの…急性期病棟って、“人間の限界”試してくる職場じゃないですか…?

あんな
あんな

あー、それ、めっちゃわかる。

自分が首相かと思うくらい分単位でスケジュール組んでたもん。

やってた頃は、生活リズム崩れまくりで午前なのか午後なのか分からなくなる日もあったよ

ひより
ひより

首相(笑)

でも本当に、急性期って一分一秒が勝負みたいなところあるよね。

ストップウォッチ3個かけてたあの頃

あんな
あんな

私、ストップウォッチ3個くらい首にぶら下げてたよ。

“何の競技?”ってくらい。

でも走るのは禁止だから、競歩で早歩きしてた(笑)

こはる
こはる

あ、私も最近“競歩力”ついてきた気がします(笑)

でもナースコールって本当に空気読まないというか…

あんな
あんな

“え、今!?”って場面、何回もあった

でも、どんなに急いでても、患者さんの不安って待ってくれないんだよね。

ひより
ひより

急性期で培われるのって、“優先順位を瞬時に決めて動く力”なんだよね。

ある意味すごいスキル。

チームの力に救われた瞬間

こはる
こはる

正直、毎日いっぱいいっぱいですけど、チームに助けられてる感じあります。

本当に感謝です。

あんな
あんな

うんうん。

自分のチームじゃない人がナースコールとってくれたり、点滴の準備手伝ってくれたり。

本当にありがたかった。

あんな
あんな

私は元々急性期病棟で働いてて、月に4回夜勤してたの。

夜勤明けの日も休みって感じがしないし、次の日もなんとなくだるいままで。

気づいたら、生活の“質”がどんどん下がってた

ついでにお肌もボロボロ・・・・。

ひより
ひより

急性期は忙しさゆえに、支え合う力が自然と育つ場所なんだと思う。

あんな
あんな

あの忙しさは、“今しかできない看護”だったと思う。

だけど・・・。

私は、長く続けるのは難しかった。

「もう無理…」と思った日のこと

こはる
こはる

え、それって、どんな瞬間だったんですか?

あんな
あんな

んー…。

なんかね、ある日、日勤・夜勤・明け・日勤っていう地獄の4連勤明けで、帰り道に車を運転して帰ったら数秒間だけど、寝てしまっていて逆走で運転してたんだよね。

幸いにも、反対車線の車がクラクション鳴らしてくれていたからすぐ起きれて事故はなかったんだけど・・・。

ひより
ひより

……それ、心と身体が出してるSOSだったんだよね。

こはる
こはる

でも…やっぱり給料って下がりますよね?

あんな
あんな

うん。

当時は、やりがいもあったし、責任感で必死だったけど、

今思えば“頑張る”が習慣になって、疲れてることにすら気づけなくなってたんだと思う。

次の選択は「頑張らない場所」だった

こはる
こはる

そのあとすぐ辞めたんですか?

あんな
あんな

しばらく葛藤したよ。

でも、『もっと穏やかなペースで、患者さんと関われる働き方をしたい』って気持ちが強くなって、転職を決めた。

ひより
ひより

で、今は夜勤なしの職場?

こはる
こはる

それ、ちょっとうらやましいです…。

でも給与とか、転職するのって怖くなかったですか?

「急性期を辞める=逃げ」ではない

あんな
あんな

怖かったよ。

でもね、“急性期で働ける=すごい”って価値観に縛られすぎてたのかもしれない。

ひより
ひより

あぁ…それ、あるね。

“急性期=一流”みたいな空気、業界あるあるだもん。

あんな
あんな

でも私にとっての“すごい”は、“長く健康に働き続けられること”だった。

だから辞めたことは、キャリアダウンじゃなくて“自分を取り戻す選択”だったと思ってる。

選択肢は、いくらでもある

こはる
こはる

でも急性期辞めると、“もう戻れないかも”って不安もあるんですよね…

あんな
あんな

戻りたければ戻れると思うよ。

経験は消えないから。

でももし“もう無理かも”って思ってるなら、無理に続けるより、別の働き方を探すほうが建設的かも。

ひより
ひより

今は選択肢が本当に増えてるよね。

訪問看護、美容、教育、在宅、リモート…。

“看護師のキャリアは病棟だけじゃない”って、もっと広まってほしいな。

まとめ:あなたに合う場所、きっとある

今、急性期で頑張っているあなたへ。
「もう無理…」と感じたら、それはあなたが弱いのではなく、
“次のステージを考えるサイン”かもしれません。


私もそうでした。
限界ギリギリまで頑張ってから、ようやく気づいたんです。
自分を守れるのは、他の誰でもなく、自分だけだということに。